1969年11月18日、兵庫県姫路市出身、蠍座/B型。特技/漢字博士。
1969年11月、兵庫県姫路市の小さな街で生まれる。父、母、6歳上の兄という家族構成である。おっと、もう一人、いや、もう一匹、家族がいた。グレー地に黒の虎縞模様の毛皮を着て、身柄はかなり大きく、生まれてから、かなりの年月を経ているであろうと思われる、眉間の深い皺(のような模様)と、人生の辛酸を嘗め尽くしたかのような落ち着き払った表情と、誰よりも偉そうな態度を併せ持った、最大級に不遜な居候である。彼は、貨物船がロシアのペテルブルグに停泊しているときに、父に接触したらしい。「おい!そこの東洋人!おまえだよ、お、ま、え! どうだい、ひとつ、俺の頼みを聞いちゃあくれねえかい? いやぁ、ニャぁに,大したことじゃあないんだが、この船、南へ行くんだろ? なんとか乗せてってくれねえかなぁ? いやぁ、この歳になると此処の冬はキツいんだよォ。わかるだろ! ニャぁに! 大丈夫だって! そのズタ袋の中に入れてくれりゃあバレやしねえって!! えっ、いいのかい! 話せるねえ、兄さん! ありがとうよ! 何々ニャに?、まだ小さい息子が居るってのかい? そりゃぁ大変だニャあ……。 ……よっしゃ!! おまえさんが航海に出てる間、俺が子守りをしてやるよ! ニャぁに、心配すんなって! 伊達に長生きしちゃあいねえんだから! まかしとけって!!」ちなみにこの頃、名前はまだない…はずである。日本の我が家に来てから、なんとなく古びた風貌と、常に左右に振っている尻尾から『ふる』という名前をつけられた彼は、3歳頃の私の良き友人だった。私は彼の背中に乗り、会話をし、まるで、親子のようであったと(私の)親は言っている。もし、上記の会話文のような意志を、『ふる』が持っていたとしたなら、相当健気な猫である。『ふる』との別れは、定かな記憶は無いが、7,8歳の頃であろうか? 生命体の物理的な死というものを、論理的に理解していたフシがあるので、おそらく年齢的にはそれ位であろう。その証拠といっては何だが、車にはねられ、動かなくなった『ふる』の遺骸を、夢前川(ゆめさきがわ)の河原の泥の中に埋め、滝のような涙と鼻水を流し、泥と嗚咽にまみれながら、必死で冥福を祈っていたことは鮮明に憶えている。(昭和50年代は、まだおおらかでしたね。今、勝手に動物の死体を埋めたりしたら、怒られるでしょうな…汗)さて、猫に育てられた子供は、少々変わっておりましたとさ(笑)。他の子供達とは明らかに違っていたのです。目に見えて一番大きな違いは、おそらく、”ペース”でした。例えば学校で、全10問、制限時間30分のペーパーテストが行われたとしましょう。終了の合図があり、辺りを見回すと、皆、「あ〜簡単だった!」「時間余っちゃった〜!」などとぬかしております。そして自分の答案用紙に目を落とすと、まだ1問しか出来ておりません。いえいえ、本人の名誉の為に言っておきますが、決して”ド阿呆”という訳ではございません。他の子の10倍の時間は掛かりましたが、正解率は100%でした。ただ、残念ながら、そのことに公立学校の教師達は、気付かなかったのです。折しも、当時の人口増加に伴う、競争社会向けである偏差値重視の教育に適合しなかった為、学校生活に於いては、生きているのか、死んでいるのか、はたまた、居るのか、居ないのか、すらハッキリしない存在になってしまっていたのでした。
そんな私にも、転機が訪れた。大阪の私立大学に入学することが決まり、生家を離れ、一人暮らしをしていた。入学して間もない頃キャンパスで、私のその後の人生を大きく左右することになる一人の男に出会う。その男は180cmを超える長身で長髪、しかし極度に痩せているため、威圧感は無い。目は、五木ひろしほどではないが細く、顎は、アゴいさむほどではないが長い。口がうまく、ヘラヘラ、のらりくらりしているように見えて、言葉の端々には鋭い批評性と、絶妙なユーモアを覗かせていた。高い知性と、人間としての懐の深さを感じさせる、かなりの好印象であった。この印象は20年以上経った現在でも、あまり変わっていない。名をニシイケタカシといった…。/つづく
河野薫のホームページ『KINKOJI』
『WORKS』
■ライヴサポート〜
青いサカナ団、秋山羊子、岩見十夢、内田春菊、サイクルズ、鈴木晶久、クノシンジ、ソフテロ、9コンパス、
巻上公一、田口トモロヲ、DITA、detune、などなど
■レコーディング〜
青山陽一『Broken Words And Music』、秋山羊子『指一本で倒されるだろう』、
かしぶち哲郎『LE GRAND』、クノシンジ『ポータブルポップミュージック』、倉橋ヨエコ『色々』、
detune.『わ・を・ん』、『sono』、参加など。
現在、ソロプロジェクト「tricky human special」で自作曲のCD-Rを製作、ライヴ会場にて配布中。
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